注文住宅を検討するにあたって、きっと一度は頭を過ぎる、畳の部屋。


必要ないという方。あるといいと感じる方。どちらとも言えない方。
どなたにとっても、日本の家に和室がある古くからの意味や、現代らしい活用の仕方に想いを馳せる事が、自分達らしいお家づくりを、より有意義に考えるヒントになるように。
桧家住宅名古屋・菱川学が和室についてのあれこれをお伝えします。

少しずつ減っていく、和室がある家

私がこの業界に飛び込んだのは、今から約30年前。
当時の日本の家づくりでは、和風建築であろうが、洋風建築であろうが、9割の家で和室が存在していました。
2部屋以上、和室がある家も、5割以上あった感覚です。
改めて考えてみると、和室の良さって様々にあると思いますが私は、大きくこの3つじゃないかなと考えています。

一つ目は、わびさびの世界を楽しめる事。
床の間、欄間工芸、障子の明かりといった、日本人ならではの情緒あふれる空間は、和室ならではです。

二つ目は、家族親戚が集う。「ハレとケ」を演出する場。
「ハレとケ」とは、明治時代の民俗学者が見出した、日本人ならではの世界観の一つです。
簡単に言えば「非日常と、日常」。

古くは、結婚式も自宅の和室で行われました。
花嫁が自分の自宅で支度をして嫁いで行き、新郎の自宅で三三九度をして、披露宴をする。

盆暮れ正月には親族が集い、その度に、床の間が相応しい掛け軸や生け花で彩られました。

三つ目は、畳で寝る志向のご年配者が、最も心休める、寝室として。

とにかく和室は、良き日本の生活慣習を、家中で最も表現していた空間でした。
しかし転機は、昭和後半から平成初期のバブル期でしょうか?

土地が高騰し、住宅用地サイズは小さくなりました。
連動して建物の延床面積も小さくなりました。

小さくする為に真っ先に取られた手段が、和室を2部屋から1部屋へする事。
続いて、和室1部屋が和室無しに。

少々寂しい気もしますが、変化は必然ですね。
機能的に。空間の利用効率を高く。
こう追及していけば、フル活用しない和室を削るのは、ある意味で妥当であり、真っ当な選択です。

個人的な和室の思い出

私の個人的な話ですみません。
家族親戚が集う「ハレの場」としての和室はもちろんですが、私の幼いころの和室は、夏休みです。

朝はラジオ体操に友達と出かけ、午前中は和室の畳に座り、大きな座卓で夏休みの宿題をする。
お昼にはそうめんとスイカを食べて、時には外で遊び、時にはプールに出かけ、疲れて戻り、和室の畳の上で昼寝する。

こんな幸せな日々を思い出します。

そのような思い出も相まってなのか、和室は夏が似合うと思えてなりません。
クーラーの無かった時代でも、扇風機一つで過ごせました。
土壁、畳、木材が、風通しの良い和室の湿度をコントロール。
あの快適な眠り心地を思い出します。

THE昭和な話になってしまいましたが、日本人のアイデンティティ、DNAみたいな所に「和」は受け継がれているものだと思います。

和室が生み出す癒し

畳や障子、ふすまや建具に囲まれていると、無条件に安らぎを覚えます。
これは、日本人特有の色彩感覚から来るものなのだそうです。

土壁や漆喰、木目など、和室全体を覆う優しい茶系の色合いは、そもそも刺激が少なく、脳をリラックスさせる効果があります。
人間に限らず、生き物の多くは「保護色」に囲まれると安心できます。

和室の色合いは、日本人の肌と同じ彩度。

野ウサギやライチョウが、夏は茶色く、冬は白く体毛を変化させて自然に溶け込むように日本人は和室に入ると、まるで環境の色合いにうまく溶け込めたかのように、安心する事ができます。

古くから、家の中では靴を脱いで生活していた私達日本人にとって、硬くなく、冷たくない畳は、最適な床材でもありました。
海外の方にも、畳の香りや感触は「気持ちいい」と好評なようです。

ご先祖様の知恵や技術の結晶である和室は、守り継ぎたい伝統の一つ。
古くから変わらない和室の色合いや素材には、民族としての、それなりの理由もあったようです。

令和の「和」、現代の快適な和室とは

出来る事なら、たとえ4.5畳の茶の間、畳コーナーであっても、存在しているだけで癒しを味わえる空間づくりができるかなと感じます。

リビングに隣接した、畳の空間。
少し疲れた時や、ほんの短時間、仮眠したいときに、寝室のベットまで行かずとも「ゴロン」と横たわれる場所。
やっぱり、あると良いなと思います。

お子様が、おもちゃでフロアを傷つけてしまったり、何より頭を打って大きな怪我に繋がってしまったりする心配の少ない畳の空間はお子様が小さなうちは、安心して遊ばせてあげられるスペースにもなるでしょう。
そんな事から、キッチンから目の届く場所に畳コーナーをご希望される方も多くいらっしゃいます。
畳の素材であるイグサには、ストローのように内部に空洞があり、走り回る足音や物音などを、小さくしてくれる効果もあります。

お子様が少し成長してからは、集中して勉強に打ち込める宿題コーナーにするのもいいでしょう。
他にも、奥様がゆっくり読み物をする空間として。
ご夫婦で晩酌でもしながら、1日を締めくくる場所として。
心に向き合える場所は、ご家族の毎日をより豊かにしてくれるものだと感じます。

例えば、お雛様や五月人形を飾るといった、日本の伝統行事についても、やはり和の空間でこそ映えると感じる方も多いかもしれません。

4.5畳の、現代の和室。

昭和の時代の、年間数日しか使わない和室から、使用率の高い、機能的な空間へ変化していると感じます。
もちろん、ゲストルームという、予備の部屋としての考え方もあると思います。

普段は「ゴロン」とする休憩空間を、特別な来客、ご両親やご兄弟が泊りに来る時の客間として利用出来れば、とても便利ですね。
いつでも遊びに来てねと、大切な方達に言える大らかな暮らしは、とても魅力的でもあります。

桧家住宅名古屋の和室

桧家住宅にも和室を併設したプランはいくつもありますがこ提案の一つに、畳ダイニングというものがあります。

こちらは、和室は無理でも、ちょっとした和の空間を設けたいというご要望にお応えするもので、食事をしたり、みんなで寛いだりできる家族団らんのスペースに、畳をあしらったものです。
小上がりタイプで、スペースの真ん中にちゃぶ台を設けたり、掘りごたつにしたり。
キッチンのそばに畳ダイニングを設ける事で、炊事をする間も、お子様やご家族のご様子に目が届きます。

桧家住宅名古屋のモデルルームでも、畳ダイニングをご覧頂けますので、ぜひお気軽に遊びにいらして下さいね。

住宅から少しずつ消えゆく畳。
しかしながら、和室の魅力は私達日本人がDNAレベルで感じられるものだからこそ家づくりにあたって、改めてその良さを見返してみる事がご家族の幸せな過ごし方を考える、素敵なきっかけの一つになれば幸いです。